見出し、企画、説明文などをAIに考えてもらうと、最初に出た案をそのまま採用したくなります。しかし、一案だけでは別の考え方と比べられません。反対に「10案ください」と頼むだけでは、語尾を変えた似た案が並び、選ぶ手間が増えることがあります。
結論:方向性を分けてから、同じ物差しで比べる
複数案を活かすポイントは、数ではなく違いを指定することです。まず目的と制約を伝え、異なる方向性の案を出してもらいます。その後、最初に決めた評価基準ですべての案を比較し、採用案は自分で選びます。
1. 先に目的と動かせない条件を書く
案を求める前に、「誰に」「何をしてほしいか」を一文で書きます。さらに文字数、期限、予算、使えない表現など、変更できない条件を分けます。条件が曖昧だと、魅力的でも実行できない案が混ざります。
例えば社内研修の案なら、対象人数、参加者の経験、実施時間、オンラインか対面かを伝えます。まだ決まっていない情報は、無理に設定せず「未定」と書きます。AIが仮定を置く場合は、仮定を明示するよう頼みましょう。
2. 案ごとの方向性を変える
「違う案を3つ」より、違いの軸を指定すると比較しやすくなります。例えば「準備時間を最小にする案」「参加者の実践を重視する案」「実施後の継続を重視する案」です。どの案も目的と制約は共通にします。
次の目的を満たす案を3つ作ってください。
目的:AI初心者が日常業務で一つ試せるようになる
対象:10人、利用経験はほぼない
制約:60分、追加予算なし、個人情報は使わない
案A:準備の少なさを重視
案B:参加者の実践時間を重視
案C:研修後の続けやすさを重視
各案について、概要、進め方、長所、弱点、事前確認事項を示してください。
条件にない事実を置く場合は「仮定」と明記してください。
3. 評価基準は案を見る前に決める
案を見てから基準を作ると、気に入った案が有利になるよう物差しを変えがちです。実行可能性、目的への適合、安全性、準備の負担など、今回の判断に必要な基準を先に決めます。
AIへ比較を頼むときも、「おすすめを決めて」だけで終わらせません。各基準について、評価と理由を表にし、不明な箇所は「要確認」と表示させます。点数を使う場合は、1点と5点が何を意味するか定義します。合計点は参考にとどめ、致命的な弱点がないかを別に確認します。
4. 反対意見を出してもらう
良い点だけを並べると、選択を誤りやすくなります。それぞれの案について「うまくいかないとしたら理由は何か」「誰に負担が偏るか」「実施前に確認できるリスクは何か」を質問します。
反対意見もAIによる予想であり、実際の職場を理解した結論ではありません。現場の担当者、承認者、影響を受ける人へ確認するための質問リストとして使います。法律、契約、費用、製品仕様が関わる部分は、公式情報や専門担当者へ確認してください。
5. 良い部分を組み合わせる
一つの案を丸ごと選ぶ必要はありません。案Aの簡単な準備と、案Cの振り返り方法を組み合わせることもできます。このときは「採用する要素」「採用しない要素」「組み合わせによって新しく生じる問題」を整理します。
組み合わせた案は、最初の目的と制約でもう一度確認します。部分ごとには良くても、合体すると時間や作業量が増えることがあるためです。AIには最終案を短く説明させた後、制約との不一致を指摘させます。
6. 小さく試して結果を残す
最終案をいきなり大きく実施せず、短い文面、一部署、一回の会議など、小さな範囲で試します。期待した結果、実際の結果、直す点を記録すると、次回の質問に具体的な条件を追加できます。
同じ質問をChatGPT・Claude・Geminiへ入力し、案の数ではなく、条件の守り方、違いの明確さ、弱点の説明で比べる方法もあります。比較に使った指示を保存すると、自分に合うサービスと質問の形を判断しやすくなります。
まとめ
AIから複数案を得るときは、目的と制約を示し、方向性の異なる案を求めます。案を見る前に評価基準を決め、長所だけでなく弱点や要確認事項も比べます。AIに正解を選ばせるのではなく、自分が納得して選ぶための選択肢と論点を増やしましょう。