問い合わせを担当部署へ振り分ける作業では、同じ意味でも書き方が違い、判断に迷うことがあります。AIは内容の整理を助けられますが、個人情報を含む原文をそのまま入力したり、緊急案件を自動で確定したりしない設計が必要です。
結論:分類基準を先に作り、判断不能を残す
AIへいきなり大量の問い合わせを渡さず、分類名、含める条件、含めない条件、例を人が決めます。AIには分類と理由、確信できない点を出してもらい、最終的な振り分けは担当者が確認します。
特に安全、権利、支払い、苦情など影響の大きい内容は、専用の連絡経路と優先ルールを設け、一般的なAI分類だけに任せません。
1. 利用目的と範囲を定める
目的を「問い合わせの傾向を月次で集計する」「一次受付で担当候補を示す」のように限定します。返信内容の作成や対応の終了判断は、別の工程として扱います。
対象期間、対象窓口、対応言語も決めます。目的が違うデータを混ぜると、分類の意味が曖昧になります。
2. 入力前に匿名化する
氏名、連絡先、会員番号、注文番号、住所、自由記述内の個人情報を除くか置き換えます。問い合わせ内容を分類するのに本当に必要な部分だけを残します。
匿名化しても、珍しい出来事の組み合わせから個人を特定できる場合があります。会社が承認した環境と手順を使い、保存期間や閲覧者も確認します。
3. 分類表を人が用意する
たとえば「操作方法」「契約・料金」「不具合候補」「意見・要望」「その他」とし、それぞれの定義と除外条件を書きます。「ログインできない」は操作方法にも不具合にも見えるため、確認すべき情報を決めます。
一つの問い合わせに複数の用件がある場合、主分類と副分類を認めるか、分割するかを決めます。必ず一つへ押し込むと重要な用件が消えます。
4. 分類を依頼するテンプレート
匿名化した問い合わせを、次の分類表に沿って整理してください。
出力:受付番号/主分類/副分類/判断理由
不足情報/人が確認すること
分類表に当てはまらない場合は「判断不能」としてください。
緊急性や顧客の意図を、書かれていない内容から推測しないでください。
氏名や連絡先を推測・復元しないでください。
分類表そのものと数件の正しい例を一緒に渡すと、基準を合わせやすくなります。例に偏りがないかも確認してください。
5. 誤分類の影響から確認順を決める
すべての分類ミスが同じ影響とは限りません。安全に関わる相談が「その他」になる、解約希望が「要望」になると対応が遅れます。影響の大きい分類を優先して人が確認します。
「確信度90%」のようなAIの数字だけで自動確定せず、理由と原文を見ます。判断不能を減らすことより、無理な断定を避けることを優先します。
6. 定期的に基準を見直す
人が修正した分類を記録し、どの表現で迷ったかを集めます。新しい問い合わせが増えたら、分類を追加する前に既存分類との違いを定義します。
製品や窓口が変われば基準も更新します。分類表に版と適用日を付け、古い例を使い続けないようにします。AIの出力だけでなく、対応時間や再振り分けの件数も見て改善します。
7. 分類結果を返信内容と混同しない
「契約・料金」に分類できても、その問い合わせへどの条件を案内すべきかは別の判断です。分類名から回答を自動生成して送ると、契約内容や相手の状況を確認しないまま誤案内するおそれがあります。
一次分類の後に、担当者が原文、契約情報、最新のFAQを確認する工程を置きます。返信案へAIを使う場合も、分類に使った匿名文だけでは必要な事実が足りないことを前提にしてください。分類の正確さと、回答の正確さは別々に評価します。
対応が終わったかどうかも、分類結果だけでは決めません。正式な受付記録で確認します。
まとめ
AIで問い合わせを分類するときは、目的、分類の定義、除外条件を先に決め、入力を匿名化します。理由と不足情報を出してもらい、判断不能を許容します。影響の大きい誤分類を人が優先確認し、修正記録から分類表を継続的に改善しましょう。