規程、マニュアル、提案書の新旧版を比べる作業は、文章が長いほど見落としやすくなります。ChatGPT・Claude・Geminiへ2つの文書を渡すと差分整理を手伝ってもらえますが、AIの一覧だけを正式な変更記録にするのは危険です。
結論:文書に名前を付け、差分の種類を指定する
比較では、どちらが旧版でどちらが新版かを明示し、「追加」「削除」「変更」「移動」に分けて出してもらいます。結果には該当箇所を付け、最後に原文同士を確認します。
ファイルの対応形式や容量、読める範囲はサービスやプランによって異なります。利用時点の公式ヘルプを確認し、会社が許可していない文書はアップロードしないでください。
1. 先にファイルを比較できる状態へ整える
ファイル名を「規程_旧版_2025-04」「規程_新版_2026-04」のように区別します。文書内にも版、作成日、ページ番号があると確認しやすくなります。スキャンしたPDFは文字を正しく認識できない場合があるため、検索できる文字データか確認します。
変更履歴、コメント、非表示の列など、画面に見えない情報が含まれることもあります。AIへ渡す前に複製を作り、必要な本文だけを安全な形式へ書き出します。
2. 比較の単位を決める
全文を一度に「比較して」と頼むより、見出し、条項、表の行などの単位を決めます。用語だけの修正を含めるか、空白や句読点の違いを無視するかも指定します。
契約書のように一語の変更が重要な文書では、AIによる意味の要約だけでは足りません。原文を並べる正式な差分機能や専門担当者の確認と組み合わせます。
3. 表にしてもらう質問例
添付した「旧版」と「新版」を比較してください。
見出し単位で、次の列を持つ表にしてください。
旧版の箇所/新版の箇所/差分の種類
旧版の原文/新版の原文/業務への影響候補
差分の種類は、追加・削除・変更・移動のいずれかにします。
原文を確認できない場合は推測せず「確認不能」と書いてください。
単なる空白の違いは除外してください。
「業務への影響」はAIの推測です。決定事項として扱わず、担当者が検討する欄にします。引用が長すぎる場合は、該当する見出しと冒頭の短い語句を示してもらいます。
4. 抜けがないか逆方向にも確認する
新版を基準にした比較だけでは、旧版から消えた項目を見落とす可能性があります。「旧版の各見出しが、新版のどこに対応するか」も別に確認します。見出し一覧の件数を数え、対応のない項目を出してもらいましょう。
表や注記、脚注、付録も対象にするか指定します。本文だけを比較して、別紙の変更を見逃すことがあります。画像化されたページは、文字部分とは別に確認が必要です。
5. 重要な差分を原文で照合する
AIが作った表から、期限、金額、対象者、禁止事項、承認経路を優先して原文へ戻ります。「できる」が「できない」に変わるような否定表現、単位、小数点にも注意します。
ページ番号だけに頼ると改ページでずれるため、見出し名や条項番号も記録します。確認した人、確認日、使用したファイル名を残すと、後から同じ差分を追えます。
6. 最終成果物を分ける
AIの比較表は作業用、承認された変更一覧は正式版として分けます。作業用には未確認の差分が含まれることを明記します。採用した変更には、判断理由や承認者を人が追記します。
機密文書、個人情報を含む資料、法的な判断が必要な契約は、組織の承認されたツールと手順を優先します。一般向けAIだけで変更の有効性を判断しないでください。
比較後に「変更なし」とされた章も、影響の大きい箇所は抜き取り確認します。AIが長い文書の一部を処理できなかった可能性があるためです。読み込めたページ範囲やエラー表示も記録し、不明な範囲をゼロ件の差分と混同しないようにします。
まとめ
2つの文書をAIで比べるときは、旧版と新版を明示し、比較単位と差分の種類を指定します。追加だけでなく削除や移動も確認し、重要な変更は必ず原文同士で照合します。AIの表を見落とし防止の補助として使い、正式な変更記録は人が確定しましょう。
公式出典
- OpenAI Help Center「File Uploads FAQ」2026年7月24日確認
- Claude Help Center「Upload files to Claude」2026年7月24日確認
- Gemini Apps Help「Upload & analyze files in Gemini Apps」2026年7月24日確認